プロイラストレーターが自分用に作ったデバイスが製品に! 三日間で250万円の支援金が集まったクリエイター向けデバイス『Rev-O-mate』開発の道のり

プロイラストレーターが自分用に作ったデバイスが製品に! 三日間で250万円の支援金が集まったクリエイター向けデバイス『Rev-O-mate』開発の道のり

皆さん、イラスト制作にデバイスは使っていますか?

 

「戻る」や「ペン」、「消しゴム」といったショートカットキーをデバイスに登録することで、コマンドをより速く実行でき、作業効率をアップできます。

 

そのような中、クリエイター向けに特化されたあるデバイスが注目を集めています。それが『Rev-O-mate』です。

 

発案者はプロイラストレーターとして活躍しているJACOさん。本業のイラスト制作環境を整えるために、デバイス収集を通り越し、自作するまでに至った異色のクリエイターです。

JACO

△ JACOさんが手掛けるオリジナルキャラクター「角娘」

 

2017年9月末から製品化を目標に、不特定多数に呼びかけて共感した人から資金を募るサービス「クラウドファンディング」の利用を開始。わずか三日間で目標金額である250万円を達成しました。

 

そんな注目のクリエイター向けデバイス『Rev-O-mate』の発案者であるJACOさんと開発元の株式会社ビット・トレード・ワンに開発秘話や製品へのこだわりをインタビューしてきました。

 

▼目次

クリエイター向けデバイス『Rev-O-mate』とは

現役イラストレーターが発案し、開発のプロが仕上げるまで

『Rev-O-mate』開発へのこだわりとは

クラウドファンディング『Kickstarter』を利用したわけとは

 

 

クリエイター向けデバイス『Rev-O-mate』とは

Rev-O-mate

『Rev-O-mate』は押し込み可能な無限回転ダイアル細かな設定ができる10個のボタンがひとつになったデバイスです。

 

Rev-O-mate

△回転(CLIP STUDIO PAINT)


 
Rev-O-mate

△拡大/縮小(SAI)

 

例えば、キャンバスの回転や縮小といった動作も指先ひとつで簡単に。「ブラシ」や「消しゴム」、「戻る」、「進む」といった、よく使う機能をボタンに登録しておけば、マウスを動かさずとも簡単に切り替えられ、効率アップにつながります。

 

機能の詳細はこちら

現役イラストレーターが発案し、開発のプロが仕上げるまで

―― 公開からわずか三日間で目標金額の達成おめでとうございます。元々、イラストレーターであるJACOさんが自作したことがスタートですが、自作しようと思ったキッカケとは何だったのでしょうか?

 

元々デバイスが好きで、様々なメーカーから出ているものを使ってイラストを描いていたのですが、特にお気に入りだったデバイスのドライバサポートが終わってしまい、自分用に代替機を作ろうと思ったのがキッカケです。

 

―― 「ないから作る」という実行力、凄いですね。元々は工学系の学校出身だったりしたのでしょうか?

 

工学系の大学出身ではありますが、CADや半田付けを少々やった程度です。プログラミングもアプリケーションを作ったぐらいで、組み込みなどのプログラミング経験はありませんでした。

 

―― つまり、独学でやったとのことですね。

 

はい。

 

―― その後、『Rev-O-mate』の開発に携わっているビット・トレード・ワンとは、どういった経緯で製品化まで至ったのでしょうか?

 

当時、試作機を作ったことをSNSで発表したところ、大勢に注目してもらい話題になりました。その後、ビット・トレード・ワンさんに製品化のお声がけをいただきました。

 

ビット・トレード・ワンさんは「個人の作品を商品化」のお手伝いするサービスを提供していて、その一環です。また、試作機を制作する際にビット・トレード・ワンさんが販売している電子工作キットを使っていたりと、もともとお世話になっていました。

 

Rev-O-mate

△ 右から左にかけて、改良を重ねていった。

 

やはり個人で作るとまだまだでしたので、ビット・トレード・ワンさんに開発いただき、32ビット化や動作モードに応じてイルミネーションが変化するなど、インタフェースデザインの強化、今後の生産、販売までのサポートをご協力いただいています。

『Rev-O-mate』のこだわりとは

――『Rev-O-mate』を開発する上で、特にこだわった点はどこでしょうか?

 

ハードについてですが、利き手関係なしに使えるようにしています。

 

ゲーミングデバイスの多くは「左手デバイス」と呼ばれるほど、右利き向けに作られていることが多いので、利き手関係なく扱えるデザインにしました。

 

また、キーボードなど他のデバイスとも併用できるようにし、サイズも小さく場所をとらないよう工夫しています。
 

材質をアルミにして一定の重量感を持たせ、回し心地に気を配っています。ダイアルが軽すぎると、意図しない動作で反応してしまい支障を来たすので。ボタンも同様に指を乗せているだけでは動かないよう、押しごたえのあるものにしています。

 

設置面も滑りにくくしているので、液タブに乗せて斜めに使っても大丈夫です。

 

―― ソフトについてはいかがでしょうか?

 

まず、標準ドライバで動作するようしているため、パソコンにつなぐだけですぐ使えます

 

また、パソコンを変えても設定しなおす必要がありません。

 

多くのデバイスは、パソコンを変えると設定し直しになるのですが、登録したコマンドは『Rev-O-mate』内に保存されるので不要となります。それにより、MacやLinuxなどでもWindow機と同様の動作が可能になります。

 

使用面では登録できるモードを3つ用意しています。例えば、Photoshop用、CLIP STUDIO PAINT用、SAI用と、簡単に使い分けられます。ひとつの作品を仕上げるのに複数のアプリケーションを使う方もいますので。

 

細かく調整できて自由度が高いのですが、あらかじめに扱いやすいプリセットを用意しているので、シンプルに扱いたい方はそのままお使え頂ければと思います。

 

このプリセットは書き出しと読み込みができるので、自身でカスタムしたプリセットの配布もできます。

 

Rev-O-mate

 

クラウドファンディング『Kickstarter』を利用したわけとは

―― 製品化する上で、クラウドファンディングを利用しましたが、こちらの意図はなんだったのでしょうか?

 

当初は支援金も集めず、製品化する考えもありました。

 

ただ、クラウドファンディングを利用することで需要を確かめたかったこと、サービスを通した広告効果が見込めると思い、利用しました。コスト面のリスクを軽減する意味もあります。

 

―― 国内のクラウドファンディングサービスもある中で、海外発のサービスである『Kickstarter』を利用した理由とはなんでしょうか?

 

試作機を発表したときに、海外からも反響があったので海外展開まで見据えた販売方針にしたのが理由です。

 

最初は国内のクラウドファンディングプラットフォームで始めることを考えていたのですが、2017年9月に海外で人気の『Kickstarter』が日本語対応したこともあり、利用を決意しました。

 

―― 実際、クラウドファンディングを開始するまで心境としてはいかがでしたか?

 

プロジェクトを開始するまで成功するかの不安はありました。

 

ですが、初日に目標金額の65%を達成し、成功すると確信しました。さすがに三日間で達成するとは想定外でしたが……

 

―― 海外からの反響はいかがでしょうか?

 

海外からもたくさんの支援をいただきました。欧州の方が多く、アジア、北米、さらには南米からも少々あります。

 

おかげさまで『Kickstarter』にオススメをいただき、ページの上位に表示されるようになりました。

 

―― 最後に、今後についてですが、一般のECサイトや店舗でも販売をする予定でしょうか?

 

『Kickstarter』で、ご支援いただいた方に製品をお送りした後、皆さんがご利用しているECサイトや店舗でも販売する予定です。もし、支援できなかった方もそちらの方でご購入いただければと思います。

『Rev-O-mate』のプロジェクト詳細、支援について

今回、ご紹介した『Rev-O-mate』のクラウドファンディング期間は2017年11月4日(土) 23:59まで。気になる方はご支援してみてはいかがでしょうか。通常価格より少しお安く購入できますよ。

 

プロジェクトの詳細、支援はこちら

 

■jaco

Twitter:https://twitter.com/age_jaco

pixiv:https://www.pixiv.net/member.php?id=1276515

連絡先:[email protected]

 

■株式会社ビット・トレード・ワン

http://bit-trade-one.co.jp/


いちあっぷでは、今後もイラストレーターの方々の挑戦を応援していきます。情報提供はいちあっぷのお問い合わせ窓口まで。