フランス人のハートはゲットだぜ! 漫画宣伝の4つプロモーション戦略!

フランス人のハートはゲットだぜ! 漫画宣伝の4つプロモーション戦略!

ご無沙汰しております! フランスの漫画専門出版社Ki-oon(キューン)のキムです。 これまでいちあっぷにフランスの漫画出版関連について色々と寄稿してきました。関連記事はこちらをご覧ください。

 

さて、今回は「マーケティング」がテーマ。

 

フランスも漫画大国となっているので、 毎月何百冊も出ている中、目立つのはなかなか大変なことです。 そこで、編集者の相棒、マーケティング担当者のファビアンンの登場です!

manga

長身で優しそうな顔をしていますが、かなりの皮肉屋です。しかし、丁寧かつ大胆な宣伝企画を考えるのが得意です。そんな彼に、フランスでの新作のプロモーション戦略の秘訣を聞いてみました。

 

▼目次

宣伝企画というのは、波紋のようなもの……

  フランスの漫画読者層とは?

  幅広くウケそうな作品なら、様々な場所でアピール

宣伝方法というのは、ボタンいっぱいの操縦パネルだ

 1.基本は「書店」での宣伝

 2.王道の「Web」プロモーション

 3.新たなマーケティングチャンネル「映画館」

 4.大切なプロモーションチャンネル「コンベンション」

マーケティングのプロから送ってもらった悟りの言葉

 

 

宣伝企画というのは、波紋のようなもの……

フランスには漫画の連載雑誌という有力な看板がないので、単行本の発売時期が勝負です。 第一ステップは、作品の読者層を見極めることです。

フランスの漫画読者層とは?

では、フランスの読者とはどんな人なのでしょうか?

 

出版業界(組合)の調査によると、2016年にフランスにコミック(フランスのバンドデシネ、アメコミ、漫画)を、少なくとも一冊以上購入した者は800万人もいます。これはフランス人口の12%に相当します。

 

その中で、主に漫画を愛読している人は200万人で、男性がやや多め(56%)です。漫画読者の三分の一は15歳〜29歳の間と、若い年齢層となっていますが、全体の平均年齢は33歳と上がっています。つまり、少年漫画ばかりではなく、青年漫画を求める人口が増えています。

幅広くウケそうな作品なら、様々な場所でアピール

年齢層と性別の話だけではありません。買ってくれそうなのは漫画読者だけなのか? それとも、そもそも漫画に興味ない人も狙えるのか?

 

ファビアン曰く、「水滴が水上に落ち、瞬間に広まっていく波紋のようなものだ」。詩的ですね。一番狭いサークル、つまり漫画好きな人口をまず全力で狙います。漫画読者向けの宣伝の主なチャンネルについて、後で詳細に書きます。

 

漫画読者のみならず、より幅広くウケそうな作品なら、それ以外の場所でもアピールします。

 

例えば、15世紀のイタリアを舞台にしている『チェーザレ 破壊の創造者』なら、漫画読者ではなくても、歴史好きの人も興味を持ってくれるだろうと予測し、ル・モンドのようなインテリ向けの新聞に紹介して取材をしてもらったり、歴史専門雑誌と協力したりしました。

 

最近では、パリの日仏文化館で開催されたアイヌの文化についての展示会に、『ゴールデンカムイ』を紹介しに、社長自身がスピーチをしました。

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△『チェーザレ 破壊の創造者』はルネッサンス時代のイタリア、『ゴールデンカムイ』はアイヌ民族を紹介する作品として、歴史や文化好きな人にとっても魅力的な作品です。

宣伝方法というのは、ボタンいっぱいの操縦パネルだ

「宣伝というのは、大きな操縦パネルが自分の前にあるような感じだ。そこにボタンがいくつかあって、誰に向けて進みたいかによって押していく。最初はボタンが少なかったけど、毎年新しくて効果的な方法を見つけるたびに増えていって、どんどん幅広く宣伝できるようになっていく。」

1.基本は書店での宣伝

基本から始めましょう。一番重要なのは書店での宣伝です。

 

フランスは書店が多く、また嬉しいことに年々増えている傾向にあります。新作の発売時期に合わせ、ディスプレイ、ポップ、リーフレット、ポスターなどを必ず作り、全国の書店に送付します。弊社の漫画を購入してくださる方には、豪快なプレゼントも用意しています。

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△『乙嫁語り』のお茶箱、『王様ゲーム』のマグカップ、『予告犯』のTシャツなど、様々な商品を作って、書店で読者にプレゼントしています。

2.王道のWebプロモーション

そしてもちろん、Webも大事です。

 

「Web宣伝に関して、Ki-oonは先駆者だった。10年前にはWeb宣伝の重要性を理解していたのはKi-oonだけだった。」

 

若者が読むものなら、漫画専門Webサイト(例:Manga News )やポップカルチャー専門Webサイト(例:9ème Art)での宣伝は欠かせないものです。そちらにもプレビュー、予告や広告などを必ず掲載してもらいます。

 

ファビアンが特に誇りに思っている企画は、2013年の『王様ゲーム』シリーズのネット上のクイズゲームでした。賞品を用意し、発売日までの六週間の間、毎週新しいチャレンジを読者に提供し、大成功しました! 今でも『王様ゲーム』は弊社の看板作品のひとつです。

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△『王様ゲーム』漫画版の発売に向けて制作された特設Webサイト。ファン達に楽しんでもらいながら作品のかっこよさと面白さを伝える仕組みでした。

 

テレビも近年大きな役割を果たしています。地上波チャンネルは2000年辺りからほとんどアニメを放送していませんが、日本のポップカルチャー(例:J-One)やオタク文化(例:Game One) を中心にしたケーブルチャンネルは10年前からいくつか生まれてきました。

 

そこに予告やプレビューを必ず流します。去年は、『OUTLAW PLAYERS』という弊社のオリジナル作品のアニメ予告を制作し、テレビ、ネット、コンベンションのブースで流しました。

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△フランス人の著者が描いているオリジナル作品『OUTLAW PLAYERS』。発売時期に合わせて、アニメ予告を公開しました。アニメのクオリティが高くて話題になりました。さすが日本のアニメスタジオ!

3.新たなマーケティングチャンネル「映画館」

そしてここ数年は、もうひとつのチャンネルが現れました。映画館です。

 

なんと、ブロックバスター(大規模宣伝を行う大作映画)の上映期間に合わせて、映画館で漫画の予告も上映します! 全作品のためにできることではありませんが、例えば『僕のヒーローアカデミア』なら、ヒーロームービーの上映の前にトレーラーを流したら、効果はばっちりです。 

4.大切なプロモーションチャンネル「コンベンション」

コンベンションも大事な販促の場になっています。 20万人以上も集まるジャパンエキスポという欧米最大の漫画祭の時期に合わせて、毎年パリから会場までの路線に沿って巨大ポスターを貼って、目玉作品の宣伝をプロモーションします。コンベンション自体でも全力で作品を宣伝します。

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△   2017年のパリブックフェアに『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』を発売し、テーマに合わせて古代エジプトの神殿の形のブースを作りました!販売だけではなくて、サイン会や展示会も開催しました。

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△ 2017年のジャパンエキスポで『僕のヒーローアカデミア』専用ブースを設営しました。大勢のファンが遊びに来てくださって大変盛り上がりました。

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△弊社のオリジナル作品『予告犯』の宣伝の一例です。パリのメトロで大きなポスターを貼ってもらって、漫画読者だけではなく、皆に紹介しました。

マーケティングのプロから送ってもらった悟りの言葉

自慢ではありませんが、弊社で発売されている作品は平均的に売れ行きがいいです。2012年から毎年新作のトップ10に少なくとも三点の作品が必ず入ります。これは他社にはない実績です。

 

それは、編集長がかなり慎重に作品を選んでいる結果だけではなく、選んだ作品に対し、全力で宣伝をしているからです。思っていたほど売れなかったものもありますが、それに相応する結果が出ることが多いです。

 

「 各作品はフルポテンシャルを最初から発揮するために努力と予算を惜しまない。悔いがないように動くのだ!

 

フムフム...…人生の秘訣もそこにある気がします。ファビアンよ、ありがとうございます!

 

漫画企画を募集中です!

Ki-oon公式ウェブサイト(フランス語のみ) : http://www.ki-oon.com/

東京オフィス連絡先:

代表名:キム・ブデン

住所:c/oフランス商工会議所   〒102-0085東京都千代田区六番町5-5 飯田ビル

メール:[email protected]

電話番号:03-6824-9596

漫画企画

Ki-oonの東京オフィス代表キム・ブデンについて:講談社の国際事業局で四年半働いた後一旦帰国、三年半フランスの漫画出版社・PIKAの編集長として勤め、2015年の10月からKi-oonの在日オフィス代表として日本に戻り、現在に至る。

 

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