プロ漫画家のコミケ物語:『リバイアサン』の作者・黒井白先生

プロ漫画家のコミケ物語:『リバイアサン』の作者・黒井白先生

ボンジュール!フランスの漫画出版社Ki-oonのキムです。

 

日本の蒸し暑さに耐えながら今年も夏のコミックマーケット(通称:コミケ)に行ってきました。記念すべきこの100回目のコミケが8月13日・14日に東京ビックサイトで開催され、2万サークルと17万人もの来場者が集まりました。

 

猛暑や台風にも関わらずこんなにもの大勢の人が集まるのには、コミケに対する彼らの熱意を物語っているのだと思います。

[画像:(Lev_Big site)]

自分の好きなキャラを好きなように描き、好きなキャラのコスプレで歩き回れます。同人活動の形も進化し、出版物にとどまらずデジタル型のソフトもあれば、様々な雑貨もあり、まさに漫画・ゲーム・アニメ好きのメッカです。

[画像:(Lev_Comike)]

1975年に始まったこのイベントはもはや世界最大規模の同人誌即売会に成長し、毎年夏と冬に開催されています。

 

コロナ禍前は、開催期間(三日間)で来場者が50万人を超えることも多々ありました。去年からは入場制限と共に有料化されましたが、それでもコミケほどの規模の同人誌即売イベントが他に類を見ません。

 

コミケの見どころに関する記事を過去に書かせていただきましたので、よかったらご覧ください。

コミケではプロの漫画家を目指す者、もしくはプロデビューを既に果たした漫画家も出展しています。弊社でオリジナル漫画を制作してくださっているコミケ経験者を二人ご紹介したいと思います。

 

一人は現在ジャンプ+で絶賛連載中の『リバイアサン- Léviathan』(以下、リバイアサン)を描く黒井白先生で、もう一人は去年フランスでデビュー作『魔女のエデン(L’Éden des sorcières)』(以下、魔女のエデン)を発表したゆめじ先生です。

 

今回はまず黒井白先生と『リバイアサン』をご紹介し、次回の記事ではゆめじ先生と『魔女のエデン』について書かせていただきます。

 

 

 『リバイアサン』:一次創作コーナーで生まれた壮大なSFデスゲーム

[画像:(Lev_Jump)]
▲2022年8月にジャンプ+で連載スタートした『リバイアサン』日本語版の1話の扉絵。

[画像:(Lev_NB_1 / Lev_NB_2 / Lev_NB_3)]

――人間か化け物か… 闇に潜むのは何者だ?

 

遠い遠い星の彼方、超大型宇宙船『リバイアサン』は、幽霊船となって彷徨っている。そこに宝を求めた墓泥棒一味が放浪していた船内へ入り込んで行く。船内で見つけたのは一冊の航行日誌。事変が起きた時に乗り合わせていた中学生・イチノセの日誌だった。

 

内容によると、修学旅行の途中で突然の大揺れとともに宇宙船は損傷、航海不可能な状態になってしまう。混乱の中、偶然イチノセとその同級生・ニカイドウは、教師と管理システムロボの会話を耳にする。

 

救助船が到着する前に酸素量が無くなってしまうと言うのだ!助かる方法はただ一つ、一機しかない人工冬眠措置を使うことだ。一名のみが助かると悟った教師は、生き残るため盗み聞きをした生徒を殺そうと動き出す…秘密を制御した者しか助からない状況の中で、人間の本性が暴かれる!

 

恐怖との戦いが壮絶に描き上げられたSF作品。デスゲームが巧みに編み出されている。広大な宇宙の中に眠っている戦いの生き残りは誰だ!?

▲『リバイアサン』のフランス版PV

黒井白先生のプロフィール

黒井白先生は『ドラゴンボール』や『北斗の拳』を読みながら育ち、『風の谷のナウシカ』や『AKIRA』のような細かい絵柄の作品を好み、またアーティスト性の強いフランスのコミック(バンド・デシネ)を愛読していたためSFの巨匠のメービウスと言った多くの海外の作品に影響を受けて創作活動に励む。

 

その後、社会人になってからはWEBデザインの企業に入社。漫画作りに対する意欲が強く、コミティアとコミケで同人誌を発表し続ける。『リバイアサン』のプロトタイプはその中のひとつで、それ以外にも白黒やフルカラーで様々な作品を発表。

 

▼黒井白先生の公式ウェブサイト(これまでの作品が読めます)
https://www.kuroishiro.com/

 

2022年1月に『リバイアサン』がフランスで発売され、現在でも今年の漫画売り上げランキングのトップ10に入っています。日本語版が8月2日からジャンプ+で連載され、初日で100万ビューを突破するほど注目作品となっている。

黒井白先生のインタビュー

―― 初めて同人即売会に参加したのはいつですか?どのような作品を販売しましたか?

 

2016年ごろに初めてコミティア に参加しました。たまたま会社の同僚で同人活動をしている方がいて、その人の合同誌に16ページほどの漫画を作らせてもらい、面白いと思ってそれ以降一人で参加しています。

[画像:(Lev_stand / Lev_couleur)]

▲コミケのブースの様子。カラー作品を多く販売していました。

 

―― コミケには何回参加されましたか?どのような作品がお気に入りでしたか?

 

3回ほど参加したかと思います。買うよりも売る方に興味があり、あまり他の方の作品を事前に調べて買いに行くことはしたことがなく、変な漫画が好きなので一般に人気のある作品はよくわからないです。

コミケ・コミティアで好きになった作家さんとしては、田中圭一さん、赤井さしみさん、満月亭さかなさん、ネルノダイスキさんなどです。

 

―― コミケを回る時間がありましたか?

 

一応一周するようにしています。コミケは人が多すぎて1周するのにかなり疲れます。

 

―― コミケに関してどんなイメージを持たれていますか?

 

同人誌イベンドに申し込むとゆるい締め切りができるので、安定して作品を作り続けられるのでいいと思います。

 

―― コミケでの特別な思い出やエピソードがあれば教えていただけますか?

 

毎回30部くらいを作って何回か持っていってやっと売り切れる程度なのですが、いつも自分を目当てに来てくれる方もいるのはそれだけで作り続けたいと思えます。

 

―― 『リバイアサン』は同人誌として始まりましたが、どのように話を思いつきましたか?長編にするつもりで始めた同人誌ですか?

 

いつも地味な人間ドラマをカラー漫画で作っていたのですが、マンネリになって行き詰まってきたので、一度割り切って流行り物のデスゲーム系のものを作ってみました。同人では面白いかと思うアイデアを試しに作ってみて手応えがあれば続きを作る感じで気軽に楽しんで作るようにしています。

[画像:(Lev_dojinshi / Lev_couv)]

▲左は『リバイアサン』の同人誌版で、右はフランス語版の商業本1巻の表紙。同人誌は概ね商業版の1話に当たります。

 

―― なぜフランスの出版社と組むことにしましたか?

 

趣味で同人誌やWEBで漫画を描いていたところお声がけいただきました。もともとバンド・デシネ に興味がありました。いろいろ柔軟に自由に作らせていただけたのでなんとか表に出せるところまでたどり着けたのかと思います。

 

―― 日本でも発表され、最初の一日で100万ビュー以上を集めました。どんなお気持ちですか?

 

内容が過激なので日本では難しいのではないかと思っていましたが、大変ありがたいです。

 

―― 黒井白先生、ありがとうございました!

 

次回、『プリキュアシリーズ』に惚れ、コミケでの同人誌活動のおかげでプロデビューを果たしたゆめじ先生にお話を伺います。お楽しみに!

[画像(Eden_couv)]

▲ゆめじ先生の初商業本『魔女のエデン(L’Éden des sorcières)』1巻。

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Ki-oon公式ウェブサイト(フランス語のみ) : http://www.ki-oon.com/
東京オフィス公式TWITTERアカウント(日本語):@Kim_Ki_oon 

 

東京オフィス連絡先:
代表名:キム・ブデン
住所:c/oフランス商工会議所
    〒103-0023 東京都中央区日本橋本町2-2-2 日本橋本町YSビル、2階
メール:[email protected]
電話番号:03-4500-6668

[画像:photo_Kim.jpg]

Ki-oonの東京オフィス代表キム・ブデンについて:講談社の国際事業局で四年半働いた後一旦帰国、三年半フランスの漫画出版社・PIKAの編集長として勤め、2015年の10月からKi-oonの在日オフィス代表として日本に戻り、現在に至る。

 

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