プロ漫画家のコミケ物語:『魔女のエデン』の作者・ゆめじ先生

プロ漫画家のコミケ物語:『魔女のエデン』の作者・ゆめじ先生

ご無沙汰しています!フランスの漫画出版社Ki-oonのキムです。コミックマーケット、通称コミケは世界最大の同人誌即売会で、アマチュアの作者もプロの作者も境目なしで自分の好きなように作品を発表できる情熱の溢れた特別な場所です。

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▲8月14日に開催された2022年の夏のコミックマーケット(通称夏コミ)の様子。

 

前回の記事に書いたように、弊社のオリジナル作品の作家の中でコミケ経験者もいます。宇宙船を舞台にしたデスゲーム『リバイアサン』の黒井白先生に関する記事に続き、今回は『魔女のエデン』のゆめじ先生にコミケの思い出を聞いてみました。

 

▽『リバイアサン』の黒井白先生の記事はこちら

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フランス語版の表紙。1巻〜3巻絶賛発売中!

 

美しい絵柄で壮大なファンタジーの世界を披露するこの漫画は、若手魔女「ピリー」と不思議なケモノ「オーク」が魔女の聖地を目指す物語を描いています。

 

『魔女のエデン』は2021年7月にフランスで発売された人気作品ですが、嬉しいことに日本語版の刊行が決定しました!『乙嫁語り』や『ハクメイとミチコ』のような名作を多く掲載してきたアーティスト性を重視する雑誌として知られているハルタで、10月から同雑誌で連載されます。是非ご一読ください!

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実は、『魔女のエデン』はゆめじ先生の初商業本であり、それまでは主にコミケで活躍をしていた同人誌作家だったのです。

 

 

『魔女のエデン(L’Éden des sorcières)』:『プリキュア』の二次創作から魔女と怪物のファンタジー冒険物語へ
 

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“自然から見放された世界、唯一の希望は魔女だった!

 

昔から植物と動物は言葉を理解し合い、共存していた…人類が現れるまでは。他種とコミュニケーションが取れない彼らは、生物を絶滅まで追い込んでしまった。動植物は逃げるほかなく、地上から姿を消してしまった…

 

それから数百年。石の砂漠と化した世界でわずかに残された緑が、草木の声が聞こえる特殊能力を持った『魔女』の隠れ屋になっている。しかし、普通の人間にとって彼女らが世界の変化の原因とされ、憎悪の的となっている。

 

ピリーは上級魔女トゥラの元で育ち、自分の力を覚醒させようと日々努力しているが、結果が出ていない。そんな弟子を元気付けるために、トゥラは不思議な種を授けてあげる。伝説によると、種が芽生えたら、選ばれし者しか受け入れられない聖地『エデン』に導いてくれると言われている。

 

しかし、ピリーはそんな冒険の夢より、トゥラと一生静かに暮らすことを望んでいるが、ある日、住まいが兵士に見つかってしまう!

 

全てを奪われそうになったその時、種が突然芽吹き、植物と融合した大狼へと変形する!伝説のエデンへの案内役なのか?!

 

新感覚のダークファンタジー!ゆめじは繊細な絵柄で絶望と希望の合間に揺れる世界を描く 。人類と自然の対立の中、ピリーはどの道を選ぶのか?エデンへの旅が始まる!”

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小学生の頃から漫画集を作るほど絵を描くのが既に好きだったゆめじ先生は、10代の時にカプコンの格闘ゲーム『ヴァンパイアハンター』を通してハイブリッドの生き物の魅力に目覚め、更にキャラ作りに夢中になりました。

 

漫画の専門学校を卒業した後、アシスタントをやりながら持ち込みを試みるが望み通りの結果が出ず、戸惑いが生まれます。

 

そんな苦戦していた時に『スマイルプリキュア!』のアニメと出会い、主人公の情熱に刺激を受けたおかげで、創作に対する熱意が再び蘇ります。保育士として働きながら同人誌制作に励み出し、自然にコミケでの即売活動を開始しました。

ゆめじ先生のインタビュー

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▲ゆめじ先生

 

―― 初めて同人即売会に参加したのはいつですか?


2012年の秋に小規模の即売会に初サークル参加して、その年の冬コミで初コミケ参加しました。

 

―― なぜ参加を決めましたか?


2012年にアニメ放送した『スマイルプリキュア!』に大ハマりし、当時消えかけていた創作意欲が復活し『スマイルプリキュア!』の二次創作を始めたのがきっかけです。

 

イラスト投稿だけでは創作熱がおさえられず同人誌も作りたくなり、同人誌を作るならイベントにサークル参加してみよう!という感じでコミケ参加を決めました。

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―― コミケを回る時間がありましたか?同じプリキュア好きの作家さんと交流ありましたか?

 

コミケに参加するときは姉に売り子を手伝ってもらい、お昼ごろに姉に店番を頼みコミケを見回っていました。有難いことに他のプリキュア好き作家さんとも交流ができ仲良くさせて頂いています。

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▲ゆめじ先生の『プリキュア』同人誌サンプル。感動もあれば、笑いもあります。

 

―― コミケでの特別な思い出やエピソードがあれば教えていただけますか?

 

多くの方々に同人誌を手に取って頂いたり、応援の言葉や差し入れなどを頂いたことは本当に嬉しかったです。おかげでより創作活動に力が入りました。あとは2017年に今まで描いた同人誌の再録本を作ったのが感慨深くて印象に残っています。


―― コミケに関してどんなイメージを持っていますか?

 

自分の“好き”をあらゆる表現方法で発表する場だと思っています。漫画、小説、イラスト、評論、グッズ、フィギュア、コスプレ、映像、音楽などなどあらゆる表現と熱量が溢れる面白いイベントだと思います。


―― プリキュアには魔女と怪物が登場するのと同じように、『魔女のエデン』の主人公は魔女と不思議な狼です。作品作りにあたって、どのようなところでプリキュアの影響を受けていますか?

 

正直に申しますとあまり影響は受けていません。プリキュアという作品は私の中で唯一無二の作品ですのでかえって作品作りに落とし込めませんでした。


――なぜフランスの出版社と組むことにしましたか?

 

コミケで声を掛けて頂いたのが印象に残っていて、後日お話しさせていただいたときにこの編集さんと出版社の元なら自分らしい漫画が作られそうだなと思い今に至ります。

 

―― 『魔女のエデン』の話をどう思い付きましたか?


魔女の話を作ろうと決め、それならどんな魔女を話に出そうかと考えたときに、母のガーデニングの手伝いをしたことを思い出しました。


母に教わった通りに手入れをしたのに私が手を加えた植物より明らかに母が手を加えた植物の方が生き生きと立派に成長しました。


もちろん経験の差なのですが、当時の私は『植物等は人を見て成長具合を調節したんじゃないか』『こいつら意思持っているだろ!』なんて妄想していました。そんな経験から植物を操る魔女を話に出そうと考えつきました。 


―― 『乙嫁語り』など、名作を多く発表してきたハルタでの連載が今年スタートしますが、日本語版の刊行が決まった時どう思いましたか?

 

正直に申しますと『待って!』という気持ちでした。ハルタは私が尊敬する先生たちが連載している憧れの漫画雑誌なので、そこに載るにはまだまだレベル不足と思っていました。

 

―― ゆめじ先生、ありがとうございます!

 

コミケでは黒井白先生やゆめじ先生のような才能溢れた漫画家の集合場所となっています。是非足を運んでみてください!

 

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Ki-oon公式ウェブサイト(フランス語のみ) : http://www.ki-oon.com/
東京オフィス公式TWITTERアカウント(日本語):@Kim_Ki_oon 

 

東京オフィス連絡先:
代表名:キム・ブデン
住所:c/oフランス商工会議所
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町2-2-2 日本橋本町YSビル、2階
メール:[email protected]
電話番号:03-4500-6668

 
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Ki-oonの東京オフィス代表キム・ブデンについて:講談社の国際事業局で四年半働いた後一旦帰国、三年半フランスの漫画出版社・PIKAの編集長として勤め、2015年の10月からKi-oonの在日オフィス代表として日本に戻り、現在に至る。

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